ジョン・ロック――神と人間との間 (岩波新書)
ジョン・ロックは退屈である。本の名前は誰でも知っている『統治二論』を最後まで読んだ人は、ほとんどいないだろう。「近代的な財産権の宣言」というイメージとは違う神学的な話が延々と続き、財産権の根拠になっていないからだ。

しかし著者は、それがロックの本質だという。彼のコアにあったのは啓蒙的な個人主義ではなくピューリタニズムであり、世界は「神の作品」だという信仰だった。Propertyという言葉は「所有権」とか「財産権」とか訳されるが、本書によればそれなしには神への義務を果たすことができない固有の権利で、資産だけでなく「生命・健康・自由」を含む。

ロックが「プロパティ」の根拠を労働に求めたのも労働価値説ではなく、神の救いの確証を見出すためだという。財産の格差は勤勉によるものだから、土地の所有権も投下した労働で正当化される。北米に移民したイギリス人が原住民を追い出して開拓した土地は、労働した開拓者のものだ。ロックは明確に植民地支配を肯定している。

続きは6月11日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。