Facebookでうろ覚えの数字を書いたら反響があったので、訂正かたがた書いておく。日本の大学改革でよく「新自由主義で雇用が不安定になったから大学の業績が落ちた」という話がある。これが正しいとすれば、日本より雇用の不安定なアメリカでは、もっと業績が落ちるはずだ。世界一といわれるハーバード大学はどうだろうか。

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これは大学の公式サイトに出ている数字だが、学部スタッフ2026人のうち、テニュア(終身雇用資格)をもっているスタッフは910人、45%である。日本では全大学を平均して終身雇用が約60%なので、雇用の安定している日本のほうが業績が上がるはずだが、もちろんそうなっていない。

雇用保証が労働生産性を高めるかどうかは、仕事の性格に依存する。工場労働者のようなチーム生産の利益が大きく、個人の能力にあまり依存しない労働では、雇用を保証して「企業特殊的スキル」を身につけることが重要なので、日本の製造業の生産性は高い。ホワイトカラーの生産性は低いが、人事異動や出世競争という強いインセンティブがある。

これに対して研究はチーム生産の利益が小さく、個人の能力に大きく依存するので、雇用保証する意味が少ない。大学では人事異動もないので、競争原理がまったく働かない。この意味で大学の雇用慣行は最悪で、日本的雇用が知識集約的な産業でダメになるモデルケースだが、それは最近さらに悪化している。若い研究者だけに「業績主義」が適用されているからだ。

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