近代日本一五〇年――科学技術総力戦体制の破綻 (岩波新書)
明治150年を何と総括するかについてはいろんな考え方があるが、著者は「総力戦体制」と呼ぶ。これは私も賛成だ。明治政府の目的は帝国主義戦争に生き残ることであり、そのために経済を成長させる「富国強兵」だった。それは経済力が勝敗をわけた第一次世界大戦で決定的になり、戦後も「1940年体制」として続いた。高度成長を支えたのは、通産省を中心とする「総力戦なき総力戦体制」だった。

賛成できるのは、そこまでだ。あとは岩波でお約束の絶対平和主義と反資本主義の宣伝が繰り返され、国家権力に協力した科学者を告発し、最後は反原発のアジテーションで終わる。では原子力がなかったら、著者も警告する地球温暖化の脅威はどうするのか。その答は彼もいうように「成長をあきらめる」ことしかない。先の長くない後期高齢者はそれでもいいだろうが、子孫は今より貧しくなってもいいというのか。それこそ老人のエゴイズムだろう。

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