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きのうはニコ生で90分も話したが、6月に出る規制改革推進会議の答申は、今のところよくも悪くも常識的だ。放送は通信の一種なのだから、通信と放送の規制を一本化するのは当たり前で、放送免許なんか廃止してもかまわない。本質的なのは、無線局免許の割り当てだ。それをオークションで割り当てるかどうかも大した話ではなく、非効率な用途区分が最大の問題だ。

逆にいうと、日本の通信=放送には大きなチャンスがある。特にUHF帯に200MHzもあいている電波を区画整理して5Gに使えば、今よりはるかに効率的な「デジタル放送」ができる。それを民放連が「既得権の侵害」と取り違えて、放送法第4条などトンチンカンな話で騒いでいることが混乱の原因だ。今からでもアジェンダに加えるべきなのは、次のような問題だ。

 ・集中排除原則の撤廃(キー局による地方局買収)
 ・著作権法の改正(IP放送の自由化)
 ・NHKの有料放送化
集中排除原則は、地方局の資本構成を制約している。本来はキー局の子会社にすればいいのだが、33%までしか出資できない。このため地方局の番組の9割以上はキー局の垂れ流しだが、資本が独立しているので、「電波料」と称する補助金(番組単価のほぼ半分)を出して地方局の赤字を補填している。

これが放送業界のゆがみの最大の原因である。地方局の経営規模は小さく、合計しても民放の半分以下だが、民放連の加盟社の8割以上を占めるので、彼らが今の放送免許を守ろうとする。地方民放は実質的にはキー局の中継局なので、全国の地方局をキー局が買収して子会社にすれば、ネット配信も自由にできる。

著作権については、4月6日の記事に書いた通りで、テレビ局は著作権法で自縄自縛になっている。ネット配信するためには「IP放送は放送ではない」という奇妙な規定を廃する必要がある。

NHKは優良企業だが、「受信料」という奇妙な制度がその成長を阻んでいる。これは終戦直後の時代的な制約のもとでできた制度なので、地上波もBSと同じような有料放送にすべきだ。これによって民営化すれば、NHKの経営をゆがめている予算の承認もなくなる。