推論 トリプルメルトダウン-原子炉主任技術者が福島第一原発の事故原因を探る-
3・11の当時から、私が疑問に思っていることがある。それまでの常識では、冷却水が抜けるような大事故が起こった場合は、まずECCS(緊急炉心冷却装置)が起動するはずだった。ところが福島第一では最初に補助的なIC(非常用復水器)やRCIC(原子炉隔離時冷却系装置)が動き、それがうまく動作しないうちに津波で全電源が水没した。

この原因は当初「津波による電源喪失でECCSが動かなかったため」と説明されたが、これは誤りだ。ECCSは直流電源で起動して蒸気圧で冷却水を循環させるので、津波の来る前に起動しておけば、電源がなくなってからもしばらく動いたはずだ。主力の安全装置であるECCSを津波が来る前に起動しなかったことが、結果的には苛酷事故の原因になった。

ECCSの起動が遅れた原因は、マニュアル(事故時操作手順書)で「まずICやRCCIを起動する」となっていることだが、1992年に福島第一の2号機でECCSが誤作動するまでは、まずECCSが起動する設計になっていた。この誤作動のあとECCSを後回しにするよう原子力安全委員会がマニュアルを変更したことが失敗の原因ではないか、というのが本書の推測だ。

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