JBpressの記事で私も誤解していたので、補足しておく。厚労省の調査に「不適切データが117件あった」という数字は、それだけ見ると大きなミスのようだが、これは「全国の1万1575事業場を労働基準監督官が訪問した聞き取り調査のうち87事業場」の個票の数で、全体の0.75%である。
上の写真のように「1日に45時間残業した」という記入ミスを1件と数えているが、普通はこんな数え方はしない。統計の合計が間違っていたら、全体で1件である。数字を改竄したなら重大だが、個票には記入ミスも計算ミスもある。原データまですべて洗い出したら、国会答弁には膨大なミスがみつかるだろう。
国会で出てくる質問は氷山の一角で、ほとんどの答弁資料は準備したまま使われない。野党の質問通告は直前なので、官僚はみんな徹夜して資料づくりをやる。その中に一つでも間違いがあったら、今回のように答弁の撤回や厚労相の進退問題にまで発展するからだ。まず改革すべきなのは、こういう霞ヶ関の異常な働き方ではないか。
続きは2月26日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。(まぐまぐに引っ越しました)