進化は万能である:人類・テクノロジー・宇宙の未来
宗教を信じる現代人は少ないが、ほとんどの人が科学を信じている。その法則が神の決めた必然のようにみえるからだが、これは錯覚である。物理学者は重力の加速度が与えられると微分方程式を解けるが、重力の加速度がなぜその値なのかは説明できない。本書もいうように、それは人間原理というトートロジーで説明するしかない。

つまり宇宙は本源的には無限に多様なマルチバースであり、このユニバースが存在するのは偶然なのだ。宇宙はニュートン的な法則だけで決まるのではなく、偶然の初期値と必然の法則という二つの次元で決まる進化だが、この宇宙しか見えないので、それが唯一の法則に見えるだけだ。

だから21世紀の科学のモデルは物理学ではなく、進化論だろう。ダーウィン以来おなじみのように、進化は偶然の突然変異と必然の自然淘汰で決まる。カタツムリの殻が右巻きか左巻きかは偶然に決まるが、右巻きの世界で左巻きの個体が生存できないことは必然である。

そして人間の社会では、偶然の初期値が歴史を大きく変える。あなたが妻(あるいは夫)と出会うのは偶然だが、それが人生に大きく影響する。新卒でどこの会社に就職するかは偶然だが、それが人生を決定する。大事な問題はほとんど初期値で決まってしまうので、現状を理解するには歴史を理解することが不可欠なのだ。

続きは2月19日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。(まぐまぐに引っ越します)