コインチェックから盗まれた580億円のNEMは、返金されるかどうかあやしくなってきた。26万人の被害者に460億円を返すというが、そんな現金が本当にあるのかどうか不明だ。仮想通貨の所有権には、法的根拠がない。「被害者の会」もできたので、彼らがコインチェックの資産を差し押さえるかもしれない。

仮想通貨は、国家なしで通貨を発行しようというアナーキストの夢だった。金本位制では、通貨価値は金の使用価値で支えられていたが、戦後の管理通貨制度では、紙幣は金と交換できない。通貨価値は中央銀行が管理し、金融機関は強い規制のもとに置かれ、大きな独占レントが発生している。この独占を打破するのがビットコインの目的だった。

通貨の信用を電子的に保証し、国家の保護なしで所有権をデジタル化するブロックチェーン技術は、アナーキストの夢を実現したようにみえるが、今回の事件はその抜け穴を明らかにした。盗まれたNEMはどこにあるか追跡でき、犯人の電子署名もわかっているが、彼らが自発的に返金しない限り、それを取り戻すことはできない。国家の強制力がないからだ。

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