JBpressの記事は最後がわかりにくいので、補足しておく。日本経済の問題が「生産性」だという安倍首相の認識は正しいが、これ自体は何もいわないに等しい。TFP(全要素生産性)上昇率は、成長率から資本蓄積と労働投入を引いた「残差」なので、中身はよくわからない。

その大きな要因は技術進歩だが、日本はイノベーションが大きく減退しているわけではない。残る要因は資本と労働の配分の効率性だから、資本・労働市場が発達して流動性が高いほど生産性は高くなる。資本も経営者も労働者も動きやすいアメリカ型の社会で、生産性が上がるのは当然だ。

だから安倍首相が施政方針演説で「働き方改革」によって「同一労働同一賃金」に規制して「非正規という言葉をこの国から一掃してまいります」というのは逆である。規制を強化すると雇用が固定化し、労働生産性は低下する。労働市場を自由化して、日本独特の「正社員」という雇用慣行を一掃する必要があるのだ。

続きは1月29日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。