1月からのアゴラ読書塾で考えてみたい問題の一つは、戦後の政治の最大の争点だった「安保」は本当に争点だったのかということだ。1957年の砂川事件について今年11月、東京高裁は再審請求を棄却した。この事件は1959年に東京地裁で「米軍の駐留は違憲だ」という判決が出たが、最高裁で棄却された。

この判決は米軍基地の合憲性についての最高裁の唯一の判例で、集団的自衛権についての政府見解の根拠ともされたが、これについては政権に遠慮した「統治行為論」だという批判も強い。2000年代に発見されたアメリカ側の公文書では、当時のマッカーサー駐日大使が最高裁への「跳躍上告」を求めたことが判明した。今回の再審請求はそれを根拠にしたものだが、裁判所も事実関係は認めた。

憲法解釈としては、在日米軍は憲法の禁止する「戦力」にあたるという砂川事件の一審判決(伊達判決)はおかしくない。岸信介も「伊達判決は傾聴に値する」と回顧し、「こういう問題について一点の疑義もないような憲法をもたなければ嘘だ」と述べている(『岸信介証言録』)。彼が憲法を改正しようとしたのも、そういう疑義を解消するためだったが、「安保反対」の大波がそれを押し流してしまった。それは意味のある問題だったのだろうか。

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