復興の日本人論 誰も書かなかった福島
福島第一原発事故とは何だったのだろうか。それが初期に多くの人に恐怖を与え、避難で多大な被害が生じたことは事実だが、避難は結果的には無意味だった。国連科学委員会などすべての科学的調査が指摘するように、福島で人体に影響を及ぼす放射線障害は生じておらず、今後も起こるとは考えられない。

莫大な損害が発生したにもかかわらず、人的被害がゼロだということは、発生した被害はすべて風評被害だということを意味する。福島第一では毎日、7000人の作業員が廃炉作業に携わっている。最大の仕事はサイト内の「汚染水」を貯水タンクに集める作業だが、その水が流せないのでタンクは1000基にのぼる。

著者は「これを見たとき、私はほとんど絶望のような感じをもった。こんなことを10年も20年も続けられるはずがない」という。特に問題なのは、浄化装置で除去できないトリチウム(三重水素)である。これは水素の放射性同位体で、ごく微量のベータ線を出すが、化学的には水と同じなので、世界では薄めて流すのが普通だ。日本でも他の原発はそうしているが、福島第一だけは「汚染水」をいやがる漁協の反対で流せない。

原子力規制委員会の田中前委員長は「トリチウムは薄めて流せばいい」と助言し、東電の川村会長もその意向だったが、今年7月に吉野復興相が反対して流せなくなった。安倍首相が「流せる」といえば流せるが、政権は動かない。電力関係者は「トリチウムも流せない政治には何もできない」と自嘲する。

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