1950年代の歴史を調べていると、冷戦初期に人々がどう考えていたかわかっておもしろい。日米安保をめぐるねじれの一つの原因は、知識人の多くが冷戦でソ連が勝つと思っていたことだ。

これは日本だけではなく、1960年代のサミュエルソンの教科書では、図のように21世紀にソ連のGNPがアメリカを抜くと予想していた。1960年の共同通信の正月座談会で、大内兵衛、美濃部亮吉、丸山眞男は次のように語っている。
大内 ソ連と中国の発達のしかた、進歩のしかたがどうもほかよりは早いということで、それが世界に承認された。また軍事のほうからでもロケットの実験でダレス政策というものを変えなくちゃいかんところにまで来た。

美濃部 その勢力関係がはっきりしたときに、いいかえれば資本主義がとても負けだということがはっきりしても、やっぱり平和は続きますか?

丸山 政治的自由ということは、結局計画性と、個人の自由な選択をどこで調和させてゆくかという問題に当面せざるをえない。したがって私は、アメリカ的なデモクラシーとソビエトのデモクラシーの将来というのは、必ずしも全部ソビエト型のデモクラシーになってゆく形で世界が変化してゆくとは考えられない。
大内のいう「ロケットの実験」とは、スプートニクのことである。このころ多くの知識人は「冷戦で資本主義が負ける」ことを前提にして国防を語っていたのだ。

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