電波オークションの話をすると、ネトウヨが応援してくれる。彼らはオークションで脅せば、テレビ局の「偏向報道」を撲滅できると思っているらしいが、残念ながらオークションにそんな政治的効果はない。UHF帯のホワイトスペースを区画整理すると、約200MHzの帯域をあけることができるが、そこに入ってくるのは通信キャリアだから、テレビ局の脅威にはならない。これはインフラ(無線局)の問題で、コンテンツ(偏向報道)とは無関係だ。

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たとえば神奈川県のNHK総合テレビの中継局は、すべて図のように東京スカイツリーと同じ27chでカバーできる。今はアナログ放送のなごりでバラバラにチャンネルを割り当てているが、東京から横浜に飛ばした27chの電波を藤沢、平塚、小田原などの中継局に同じチャンネルで飛ばし、そこから山間部や海岸の中継局に飛ばせばよい。民放も同じだ。

これは2008年にも私が指摘したことだ。当時は総務省も民放連も「SFNは理論的にはできるが実用化できない」といったが、今は神奈川県の中継局の97%でSFNが使われている。こんな簡単な事実がまったく知られていないのは、テレビ業界の政治力が大きいからだ。特に日本ではテレビと新聞が系列化されているので、この事実が隠されてきたのだが、状況は変わった。

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