折口信夫 - 日本の保守主義者 (中公新書)
枝野幸男氏は「和を以て貴しとなす」日本の伝統を保守するというが、こういう「素朴保守主義」は、昔から珍しくない。その元祖が折口信夫である。彼の「古代研究」は日本社会の近代化の中で、そのアイデンティティを古代に求めるものだった。

それは文字に書かれた史料に頼らないで口承から昔に遡及しようとした点では柳田国男を継承したが、「折口君は古い方から下りてくるような形をとった」と、柳田は批判した。しかし本居宣長以来、「日本」を探究する学問は多かれ少なかれそういう物語だった。古代に日本人という統一された国民は存在しなかったので、それは文学にならざるをえない。

折口の場合には、その物語のコアは(宣長と同じく)やまとことばであり、それを支える実在が天皇だった。有名な「まれびと」は神の別名だが、この概念が古代に実在したかどうかは疑問だ(柳田は否定した)。しかし折口が「神の国」としての日本の存在を証明するために使ったのは、キリスト教神学のような論理ではなく情緒だった。この点では、彼の本質は(釈迢空の)短歌に表現されている。

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