東芝の悲劇
東芝の経営危機については多くの本が出ているが、そのほとんどは原子力村と組んだ西田社長の「敗戦」という類の話だ。本書はそういう勧善懲悪とは違い、経営陣の社内政治が複合的な危機を隠して問題を大きくしたことを明らかにしている。

その病根は西田社長ではなく、彼を指名した西室社長だというのが著者の見立てである。1990年代に方向を見失って業績が低迷していた東芝に「グローバル化」という方向づけをしたのが、海外営業出身の西室氏だった。グローバル化なんて戦略ではないのだが、ドメスティックな経営者の多い中で、英語ができるだけでも重宝された。

ソニーも90年代末に、同じような経緯で海外営業出身の出井社長を選んだ。文系で傍流の西室氏にとって出井氏はライバルであり、お手本でもあった。求心力の弱さを補う社内カンパニーや執行役員など、経営手法も似ていたが、中身は親分子分の関係だった。西室氏が(中継ぎの岡村氏の次に)後継者にしたのは、同じ海外営業出身の西田社長だった。

西田氏は海外法人でパソコン部門を建て直した功績で社長に抜擢された、というのが一般的な見方だが、彼が統括だったころからパソコン部門では「バイセル取引」による会計操作が日常化し、西田氏の業績回復も粉飾のおかげだったという。

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