神と革命: ロシア革命の知られざる真実 (筑摩選書)
ロシア革命は奇妙な革命である。それが資本主義の高度に発達したヨーロッパではなく後進国で起こり、少数派だったボリシェヴィキが政権を取ったのは多分に幸運だったが、その後の革命戦争を戦い抜いたことは運だけでは説明できない。彼らは無神論を公式の教義として掲げたが、その革命を可能にしたのは宗教的な怨念だった。

ソビエトは、いうまでもなくソビエト連邦の中核となった組織だが、レーニンは1917年4月に帰国して「すべての権力をソビエトへ」と呼びかけるまで、ソビエトという言葉を肯定的に使ったことがない。それを彼は「ブルジョア民主主義」と規定していたが、帰国すると全土に広がっていたソビエトを見て、ボリシェヴィキの権力基盤に転用したのだ。

「協議会」という意味のソビエトは、1905年にイワノボ・ボズネセンスクというモスクワの北東の都市で生まれた。そこはロシア正教の異端である「古儀式派」の拠点だった。彼らは1666年にロシア正教が分裂したとき「分裂派」と呼ばれ、正教会の弾圧を受けて教会がなくなった。しかしロシア各地に分散した古儀式派は、250年も「反帝政」の地下組織として生き延びた。

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