JBpressに書いた話がちょっとむずかしいので、補足しよう。民進党が希望の党に「合流」するのは、実質的な吸収合併である。それ自体は珍しくないが、希望の党が「存続会社」になるのは珍しい。これは小沢一郎氏が自由党を民主党に吸収させたときと似ているが、「小が大を飲み込む」のは異例である。

伊吹文明氏の「かつての政権党が、10人くらいのバブル企業に身売りするのはちょっと分からない。人気という運転資金がなくなり、大慌てで本社もない新興バブル企業に資金繰りを頼んでいる」というコメントは的確だが、その背景には左派を切り捨てるねらいがあるものと思われる。これは企業買収でいうと、MBOと似ている。

企業買収の多くは派手な敵対的買収ではなく、経営陣が投資ファンドに会社を売却して赤字部門を切るMBOである。このとき重要なのは、経営のコントロール権を投資ファンドに移して労使の「暗黙の契約」を破ることだ、というのがShleifer-Summersの指摘だ。10月からのアゴラ経済塾「資本主義が足りない」では、こうした資本主義のダイナミズムをビジネスに生かす方法を考える。

続きは10月2日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。