また細かい文献学で恐縮だが、「丸山眞男学」業界にとってはちょっとおもしろい話。「八月革命」という言葉を発案したのは丸山だというのが通説だが、文献的な証拠がない。『丸山眞男集』の年譜には、東京帝大の憲法研究委員会で「丸山が提示した八月革命説を、宮沢[俊義]は丸山の承諾をえて」論文に発表したと書かれているが、この出典がはっきりしない。ところが最近、彼の座談の中に次のような話が見つかった。
ポツダム宣言を受諾したことが国体変更になるという南原先生の説が正しい。そうすると、天皇が主権者でないということを、ポツダム宣言を受諾した瞬間に日本国政府が受け入れたことになっちゃう。宮沢先生の八月革命説はそこから起こっているんだ。八月革命説がいいかどうかは別として、国体の不連続というのは明白なんだ。(『丸山眞男話文集』続4、p.128)
これは1989年7月の座談会の記録で、2015年に初めて公刊された。「八月革命説がいいかどうかは別として」という表現は、明らかにそれを発案した人の言葉ではない。これを素直に読むと、「八月革命」は宮沢の発案した言葉だと解釈するしかない。

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