War with China: Thinking Through the Unthinkable
日本では漫才師や憲法学者が「憲法を改正したら戦争に巻き込まれる」とのんきな話をしているが、米中戦争のリスクは(憲法とは無関係に)高まっている。本書は米軍の委託によるランド研究所のシミュレーションで、PDFファイルでも読める。主要な結論は次の通り:
  • 米中両国が交戦すると、双方に莫大な軍事的損害が発生するが、2015年の段階では米軍の損害は中国(GDPの25~35%)に比べると小さい。
  • 米中の損害のギャップは、中国のA2AD(接近阻止・領域拒否)戦略が改善されるにつれて縮まり、2025年にはかなり接近する。
  • 米中戦争が起こると中国の貿易は大幅に縮小し、特にエネルギー供給が大きな打撃を受ける。
  • 日本の軍事力の増加が、日米共同作戦に大きな影響を及ぼす。
米中が開戦する可能性として5つのシナリオを例示しているが、日本に関係が深いのは尖閣諸島から(偶発的に)戦争が始まるシナリオと、北朝鮮の政権が崩壊するシナリオである。現代戦の主役はミサイルであり、早ければ数日で決着する。「巻き込まれるか否か」などという選択の余地はないのだ。

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