マルチバース宇宙論入門 私たちはなぜ〈この宇宙〉にいるのか (星海社新書)
一時ポストモダン業界で流行した新実在論は「ヒュームの問題」を解こうとするものだが、その答は物理学で30年前に提唱された人間原理と同じだ:世界がどういう形で存在するかは(論理的には)偶然だが、こういう形で存在することは(現実的には)必然である。そうでなければ、人間が生存できないからだ。

これは多くの人が指摘しており、そういう論文集も出たが、メイヤスーは批判に答えていない。彼の議論は物理的実在を「ガリレオ的な数学的整合性」で基礎づけようとするトートロジーである。物理学ではそんな幼稚な段階はとっくに過ぎ、宇宙は10500以上あるというマルチバース(多宇宙)仮説を観察データで実証する試みが行われている。

著者はカリフォルニア大学バークレーでそういう研究を指導する立場にあるが、ここ10年ぐらいでマルチバースに対する学界の見方は大きく変わったという。昔はランチタイムの茶飲み話だったが、最近は学会発表で多くの状況証拠が出され、少なくとも真空のエネルギー(宇宙定数)が10-120になる事実はマルチバース以外では説明できないらしい。

続きは8月21日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。