「西洋」の終わり 世界の繁栄を取り戻すために
著者ビル・エモットはバブル絶頂期のEconomist東京支局長だったが、『日はまた沈む』という本でバブル崩壊を予想し、本誌の編集長になった。そこまではよかったが、そのあと彼が何度「日はまた昇る」と予言しても、日本は彼が東京にいたころのようなスーパースターには戻れなかった。

本書の第7章「日本という謎」では、その原因を90年代の不良債権処理から続いてきた財政・金融政策による企業の過保護に求める。日本の政府債務は、純債務でみるとGDPの130%ぐらいなので、ゼロ金利が続く限り財政が破綻するリスクは切迫していないが、最大のリスクはそれが破綻しないことだ。アベノミクスは収益の上がらない企業を甘やかし、改革を先送りしたため、日本の最大の病である「硬直性」が強まってしまった。

この診断は平凡だが、処方箋も単純である。チャーチルは「アメリカ人はつねに正しいことをする――他のすべての選択肢が尽きたときには」と言ったが、同じことは日本人にもいえる。政治家が企業を甘やかすのをやめたとき、彼らは初めて正しいことをするだろう。そして幸か不幸か、甘やかす財源は尽き始めている。

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