anti盤石にみえた安倍政権は、加計学園騒動をきっかけに、豊田真由子事件や稲田防衛相の失言などが重なり、内閣支持率は第2次安倍内閣発足以来の水準に下がった。一つ一つは小事件だが、ここに来て一挙に政権をゆるがす事態になったのは、タレブの『反脆弱性』の例としておもしろい。

安倍政権のように「政治主導」ですべての政策や人事を菅官房長官が集権的に統括していると、ペイオフは図のような凹関数になる。平時には左側のように安定して利益を出せるが、前川喜平氏のような「割れ窓」ができると、そこから右側のように破壊が始まる。初期に情報をすべて公開するなど「損切り」すればよかったが、警察の提供した下ネタで逆転をはかったことが割れ目を広げてしまった。

こういう脆弱性に法則はないが、一つあるとすれば、誰もが絶対安全だと思っている部分から破綻が始まるということだ。誰もが今のマイナス金利が永久に続くはずはないと知っているが、安倍政権の安定が低金利を支えてきた。これが反転するきっかけは、黒田総裁の「出口」発言のような誰もが予想する出来事ではなく、政治家から出てくるのではないか。

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