アメリカ議会では国境調整税が成立する可能性が出てきたようだが、法人税の廃止にはいつも「金持ち優遇だ」という類の批判が出る。これは誤りで、高い法人税を避けるために企業が海外移転すると雇用が失われ、その損失は労働者が負担するのだ。

こういうバイアスは、グローバル化で生産要素が流動化すればするほど大きくなる。それを減らすには、場所の動かしにくい消費国で課税することが合理的だ。それがキャッシュフロー課税の発想で、ロバート・フランクなどのリベラル派の提案する累進消費税も、中身はほとんど同じだ。それはフリードマンが提案したことでもわかる。

そう。あのミルトン・フリードマンである。彼はフランクが1997年に累進消費税の論文を発表したとき、封筒を送ってきたという。手紙には「政府がもっと金を集めてもっと使うべきだというあなたの意見には同意しない」と断った上で、「もし政府に本当の追加の税収が必要になったら、累進消費税は何より有効な手段だろう」と書かれていた。

そこに同封されていたのは、フリードマンが1943年にAERに発表した"The Spendings Tax as a Wartime Fiscal Measure"という論文だった。そこには「戦費調達の方法として最適なのは消費税だ」と書かれていたのだ。

累進消費税は2015年に法案として米下院に提出され、議会事務局もシミュレーションをやった。それによると次の表のように、ほぼ税収中立でも、資本ストックは22.2%も増え、GDPは5.3%も上がると推定されていた。議会事務局の評価は法案を肯定するように出てくるので当てにならないが、これは法人税の廃止による投資促進の効果だ。

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共和党の税制改革も法人所得税をやめる点では同じだが、皮肉なことにトランプ大統領が最大の障害になっている。彼が失脚してペンス副大統領が昇格すれば、共和党主流派の改革案に民主党が協力して革命的な税制改革が実現する可能性もある。