東芝解体 電機メーカーが消える日 (講談社現代新書)
本書はよくある東芝バッシングで、その理由も簡単だ:経産省と原子力村の陰謀が3・11で破綻した。日本をダメにしているのは、電力会社とNTTにぶら下がる電機メーカーの「ゼネコン体質」だという。それでは本書が槍玉にあげているソニーとパナとシャープはどうなるのか。

私もITゼネコンを批判する点では人後に落ちないつもりだが、そんな勧善懲悪で説明できるほど、製造業の問題は単純ではない。東芝の問題をすべて西田厚聡氏の「でたらめなワンマン経営」の責任にするのは、誰でもいえる結果論だ。

西田氏のグローバル経営には、見るべきものがあった。もちろん結果的には3・11で大失敗に終わったが、それは東芝の原子力技術の欠陥ではなく、民主党政権を中心とする感情的な東電バッシングのおかげだ。福島事故がなければ、東芝は日本の製造業の成功モデルになった可能性もある。それが『失敗の法則』の一つのテーマである。

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