日本経済 最後の戦略 債務と成長のジレンマを超えて
アゴラで香川健介さんがほめているので読んでみたが、結論からいうと一般読者にはおすすめできない。マクロ経済学の研究者には最近の研究のサーベイとして役に立つかもしれないが、あれこれ紹介しているだけで、何をいいたいのかわからない。修士論文にはよくあるパターンだが、出版するレベルではない。

特に問題なのは、政府債務をテーマにしているのに、最大の問題である社会保障債務についてたった2ページ(pp.123~4)しか書いてないことで、その結論は「高齢化それ自体は大きな問題ではない」。全体に、政府に遠慮した表現が目立つ。著者は経済産業研究所のコンサルティング・フェロー(非常勤)だが、今はRIETIも自由にものをいえなくなったのだろう。これでは独立行政法人などという擬制はやめて「経済産業省経済調査部」としたほうがいい。

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