東京都の市場問題PTの報告書は市場の採算性を「経常収支」という帳簿上の利益で考えているので、減価償却を加算するかどうかで大赤字になったり黒字になったりして大混乱だ。もちろんこれは間違いだが、採算はキャッシュフローで考える(減価償却は考えない)ということを知らない人は、官僚やビジネスマンにも多いと思う。役所はもちろん、大企業でも資金繰りが問題になることはまずないからだ。

しかしアゴラ研究所のような零細企業では、キャッシュフローは生命線である。来月になったら100万円入るが今月の給料が払えない、ということは起こりうる(当社では起こったことがないが)。そういうとき、帳簿上の利益がいくらあっても、資金繰りがつかなくなって手形が2回不渡りになると倒産する。

大企業だと、東芝のように大きな損失が出ているのに、それを5年近く隠して帳簿上は黒字を計上することもできる。これは粉飾決算と呼ばれて刑事事件になるが、利益を(合法的に)お化粧したことのない大企業はないだろう。中小企業の場合は逆に、黒字を小さく見せて節税することが日常茶飯事である。つまりキャッシュは客観的な現実だが、売り上げから経費を引いた利益は、考え方によって大きく変わるのだ。

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