ネットでちょっと話題になっている厚生労働省の年金マンガを読んでみた。厚労省の「100年安心」という公式見解をマンガにしたもので、「世代間格差」の章では「受け取る年金に差があったとしても、それだけで若者が損とは言えない」という。

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世代会計でみると、今のゼロ歳児の(税・社会保険料の)正味の負担は、今の60歳の世代より生涯所得で約1億円多い。この計算は厚労省も認めるが、年金は金銭の損得ではないという。親の世代が稼いで相続財産やインフラを残すので、若者は損していないというのだ。このマンガのように若者が納得したら、年金問題はすべて解決である。
このマンガのもとになっているのは、厚労省の「社会保障の正確な理解についての1つのケーススタディ」だが、これは内閣府の鈴木亘氏らの計算を認めた上で、「社会保障債務はオフバランスなので、あると思えばあるがないと思えばない」という話だ。これを論破するのは意外にむずかしい。

「賦課方式とはそういうものだ」といえば、そういうものだ。極端にいえば、社会保障債務の赤字を一般会計ですべて埋めて国債を無限に借り換えできればネズミ講(Ponzi Game)が可能になるが、もちろん国債は無限に発行できない。それが最大の現実的な制約だろう。

国債が家計金融資産1800兆円を食いつぶす前に、国債市場が飽和して消化できなくなると思われる。国債残高950兆円の40%以上を日銀が保有する現状は、限界に近い。日銀が出口戦略に失敗すると、金利が上がって社会保障債務が先送りできなくなり、「債務整理」が必要になるかもしれない。