IMFは昨年の対日審査報告書でアベノミクスの失敗を宣告し、その「再起動」(reload)を求めた。金融政策も財政政策も行き詰まった今、残るのは政府がコストプッシュ・インフレを起こす所得政策だ、というのが彼らの勧告である。賛成する経済学者はほとんどいないが、おもしろいので紹介しておこう。

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IMFワーキングペーパーによれば、図のように失業率が下がる一方で人手不足(vacancy rate)が増え、労働市場のミスマッチが強まっている。人手不足になったら賃金が上がるはずだが、実質賃金は上がらない。正社員の不足を低賃金のパートタイマーで埋めるので、失業率は下がるが平均賃金は上がらない。このため消費需要が低迷して経済が停滞する「コーディネーションの失敗」が起こっている。

失業率が欠員率(人手不足)と等しい45度線との交点を均衡状態と考えると、1980年代までは低失業・低欠員の「よい均衡」だったが、90年代には高失業・低欠員の「悪い不均衡」になり、2010年代には中失業・中欠員の「悪い均衡」になった。これをよい均衡に戻すには、政府が最低賃金を引き上げるなどの「ビッグプッシュ」が必要だ、というのがIMFの提言である。

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