戦争を始めるのは誰か 歴史修正主義の真実 (文春新書)
朝鮮半島は危機的な状態で、アメリカのトランプ大統領は単独先制攻撃の可能性を否定していない。しかし先に手を出した側が「戦争を始めた」とはいえない。日米戦争で先制攻撃したのは日本だが、日本政府にも日本軍にも積極的に戦争したい人はいなかった。

他方、ルーズベルト大統領には戦争する十分な動機があった、と本書は多くの証拠をあげる。これは「歴史修正主義」とばかりもいえない。ジョージ・ケナンも、1930年代にルーズベルトが「日本に執拗にいやがらせをした」のは賢明ではなかったと批判している。彼はソ連の承認に反対したが、ルーズベルトはスターリンを信頼していた。

ヒトラーがいなかったら第2次大戦は起こっていなかったが、本書もいうようにチャーチルとルーズベルトがいなかったら起こっていなかったかもしれない。第2次大戦は「民主主義とファシズムの戦いだった」というが、ソ連は民主主義だったのか。日米戦争はどちらにとっても無意味で、勝者はスターリンだったのではないか。

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