移民の経済学
トランプ大統領の入国禁止騒ぎで、移民問題があらためて議論されている。これについてリベラルは「多文化の共生」、保守は「ナショナルアイデンティティ」と答は決まっているが、上野千鶴子氏が移民に反対したのに対して、北田暁大氏が「移民を受け入れないと経済成長できない」と批判している。

これは両方とも誤りである。移民がすべて有害だとはいえないが、それで経済成長する理由もない。財界の「毎年20万人の移民受け入れで成長する」というのも錯覚だ。途上国から大量に単純労働者が入ってくると、労働生産性も成長率も下がる。労働市場が硬直的なままでは、移民で「人手不足」は解消できず、ドイツのように社会不安が広がるだけだ。

最大の問題は、社会保障である。ミルトン・フリードマンは「自由な移民と福祉国家が両立しないことは明らかだ」と述べた。労働者が全世界に移動できれば、社会保険料を負担しないで生活保護などを受給し、社会保障が食い逃げできるからだ。これは移民を否定しているのではなく、政府に依存した社会保障は自由経済と両立しないという意味である。

他方、労働人口が世界に移動すると、労働需給のミスマッチが解消されるので、すべての国で所得が上がって世界の分配は平等化する。その効果を本書は全世界で50兆円とも150兆円とも推定しているが、日本からみるとどうだろうか。

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