社会契約論/ジュネーヴ草稿 (光文社古典新訳文庫)
ルソーは「フランス革命を生んだ近代民主主義の創始者」として知られているが、本書を読むと、どこが民主主義かわからない。本書の中心概念である一般意志は意味不明な言葉で、普通の民主制のように選挙で選ばれる代表ではない。そもそも「社会契約」は対等な契約ではなく、「一般意志への服従を拒む者は、団体全体によってそれに服従するように強制される」。

一般意志は、ルソーのイメージではジュネーブのような都市国家の独裁者で、直接民主制で選ばれるとも解釈できるが、多数決で決まるわけではない。バートランド・ラッセルは『西洋哲学史』で「ヒトラーはルソーの帰結であり、ルーズベルトやチャーチルはジョン・ロックの帰結である」と酷評した。ルソーは、ポピュリズムの創始者なのだ。

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