ブラックアース(上) ―― ホロコーストの歴史と警告
NYタイムズに、ハーバード大学の2人の教授が「トランプはデモクラシーへの脅威か?」と題する論文を書いている。答はもちろんイエスである。NYTにもハーバードにも、それ以外の答は最初からありえない。

彼らは合衆国憲法が大統領の権限を制約しているため法案も予算も出せないことを認めながら、トランプがヒトラーに似ているとほのめかすが、「ヒトラー」とか「ファシスト」という言葉は(訴訟を恐れて)使わない。

しかしヒトラーは、トランプのような間抜けなオヤジではなく、それなりに一貫した思想家だった。ユダヤ人の殲滅は優生学という「科学」にもとづく世界史的な事業で、共産主義との戦いはその手段にすぎなかった。「ロシア革命はユダヤ人の陰謀だ」という見方は、当初はチャーチルやウッドロー・ウィルソンとも共通していた。

歴史上、ナチス・ドイツのような大惨事が起こるのは、ヒトラーやレーニンのように狂った人物が軍事的な権力を取って思想的な権威をもったときだが、トランプには一貫した思想も権威もない。よくも悪くもアメリカ人は(キリスト教以外の)思想とは無縁であり、それがファシズムの歯止めになっている。

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