「国家主権」という思想―国際立憲主義への軌跡
トランプ大統領の登場で世界は不均衡化するという話がよくあるが、これは逆だ。クラズナーも指摘するように主権国家はナッシュ均衡ではないので、そこから逸脱することによってつねに利益を得ることができる。世界はむしろ均衡に戻るのだ(それが望ましいとは限らないが)。

では今までその不均衡状態を維持してきたのは何だろうか。素朴な理解では国際協力の「理想主義」だということになっているが、篠田英朗氏はそれは誤りだという。第1次大戦にこりた世界をまとめようとしたウィルソンの国際連盟が一時的に影響力をもったのは、それが「法の支配」を世界に拡大する英米的立憲主義の押し売りだったからだ。

これを著者は「国際立憲主義」と呼ぶが、一種の知的帝国主義だった。それを鋭く指摘して、民族的な「同質性」にもとづくナショナリズムを主張したのがカール・シュミットだった。彼の法哲学はヒトラーの理論武装となり、国際立憲主義はイギリスの衰退とともに没落した。2010年代の世界は、この1930年代に似ている。

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