日本人と中国人――なぜ、あの国とまともに付き合えないのか (祥伝社新書 486)
ナショナリズムという言葉は誤解されている。それを偏狭な国粋主義として敵視する人々がいる一方で、戦後の日本から失われた崇高な理念と考える人々がいる。しかし丸山眞男から山本七平に至る戦後の知識人に共通の意見は、ナショナリズムの欠如が戦争をまねいたということだ。

ネーション(国民=国家)という概念は、ウェストファリア条約以降の西洋に特有の理念である。それはヨーロッパにおいてさえ実現したかどうかあやしく、最近のBrexitなどの動きをみると自壊し始めたようにもみえる。もちろん日本にも中国にも伝統的にネーションはなく、したがってナショナリズムもなかった(今もない)。

では戦前の日本を動かした理念は何だったのか。それを山本(ベンダサン)は内なる中国と呼ぶ。これは彼が『現人神の創作者たち』でも書いた、中国から輸入した理念を日本のものと錯覚し、逆に「今の中国は堕落しているので日本がたたき直す」と考える思想だった。

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