娯楽番組を創った男:丸山鐵雄と〈サラリーマン表現者〉の誕生
NHKには、丸山眞男についての都市伝説がある。「丸山の兄はNHKのPD(プロデューサー)だった。弟以上の秀才だったが、左翼だったので戦後のレッド・パージで追放され、このため弟はNHKの取材を一度も受けなかった」。

本書はその兄・鐵雄の伝記だが、この伝説の最初の文以外は誤りであることを示している。彼は眞男の4年上で、子供のころは成績がよかったが不良で、武蔵高校を中退した。最終的には(当時は無試験だった)京都帝大の文学部に入って東京放送局(JOAK)に就職したが、それはエリートコースとはいえない。

芸能番組のPDになって戦時中には人並みに国策番組をつくり、戦後は「素人のど自慢」をつくった。音楽部長まで出世し、最後は日本コロムビアに天下って子会社の社長になったので、サラリーマンとしては有能だったのだろう。彼には弟のような超人的な才能はなかったが、日本の「サラリーマン表現者」の元祖ともいえよう。

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