陸軍士官学校事件 - 二・二六事件の原点 (中公選書)
暴走する蓮舫代表と彼女を止められない民進党執行部を見て、30年代の青年将校を思い出した。本書のテーマは、陸軍士官学校事件と呼ばれる1934年に起こったクーデタ未遂事件である。これは陸士の候補生(学生)が辻政信(当時は陸士の教官)のスパイになって青年将校の「クーデタ計画」を密告し、磯部浅一・村中孝次などの青年将校が逮捕されて免職になったといわれる怪事件だが、謎が多い。

本書は最近発掘された軍法会議の記録にもとづいて通説をくつがえし、このクーデタ計画が永田鉄山軍務局長と辻の謀略だったことを明らかにする。この事件の不公正な処理が陸軍統制派と皇道派の対立を決定的にし、翌年の永田暗殺事件や翌々年の二・二六事件(磯部と村中が首謀者)の原因になった、というのが著者の見立てだ。それは当事者の誰も予想しなかった結果だが、日本の組織で起こりがちな「競合脱線」だった。

続きは9月26日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。