アゴラで小黒さんが書いているように、日銀はすでに債務超過になっている。中央銀行が債務超過になるのは先進国では珍しいが、それ自体は大事件ではない。中央銀行は利益を上げることが目的ではないので、日本経済全体にプラスになればいい。また日銀法で評価損は計上しなくてもいいことになっており、赤字は最終的には一般会計で埋める。

本質的な問題は、こういう財政ファイナンスが日銀の赤字を生み、それが一般会計の赤字を拡大する悪循環が、いつまでもつのかということだ。これを考えるには、資金繰り(liquidity)と支払い能力(solvency)の区別が大事だ。政府でも企業でも、永遠に貸し続けてくれる債権者がいれば資金繰りは回る。問題は、支払い能力があるのかということだ。

この評価はむずかしい。銀行が取引先に「おたくは債務超過なので融資を引き上げます」といったら、企業は「今期は大幅な黒字になるので、もう少し待ってください」などと言ってすがりつくだろう。こうして追い貸しを続けた結果、90年代の不良債権は100兆円以上にふくらんだ。

政府債務はそれより一桁大きいので、支払い能力の査定はもっとむずかしい。安倍首相は「輪転機ぐるぐる」で無限に借金できると思っているようだが、これは単なる資金繰りだ。ではどこが支払い能力の限界なのだろうか?

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