丸山眞男の敗北 (講談社選書メチエ)
丸山論の本は多いが、すぐれたものは少ない。優良可で採点すると、優をつけられるのは『丸山眞男を読みなおす』ぐらいで、ほとんどは可である。本書も残念ながら、可をつけざるをえない。

丸山眞男の敗北というから何に負けたのかと思って読むと、さっぱりその答が出てこない。ほとんどは彼の全盛期の「戦後民主主義」の旗手だったころの話で、既存の丸山論で論じ尽くされたテーマだ。60年代以降の彼の「本店」である日本政治思想史については40ページ余り紹介があるだけで、いきなり最後の「おわりに」で答が出てくる。

それを書くとネタバレになるので、興味のある方は8月22日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。