幻視のなかの社会民主主義―『戦後日本政治と社会民主主義』増補改題
今回の参院選では、安倍首相が遊説で「民進党にはもれなく共産党がついてくる」とか「気をつけよう甘い言葉と民進党」などと野党を攻撃し、快調だ。それに対して野党は「与党に2/3を取らせない」などと守りに回っている。

戦後の政治史をみると、日本の政治をだめにした元凶は社会党だったという気がする。自民党が派閥抗争や汚職事件を起こしても、80年代までは単独過半数を割ったことがほとんどなかった。この原因を本書は、社会党が社会民主主義になりきれなかったからだという。

社民と共産党は昔から対立していたが、ヨーロッパでは共産党が暴力革命路線で戦前に自滅した。ところが日本では、戦前に共産党が戦争に反対する一方、社民(無産政党)が大政翼賛会に合流したため、戦後も共産党の権威が強く、社会党の中でもレーニン主義の社会主義協会が強かった。冷戦が終わって「社会民主党」になったのは、実に1996年だった。

その間にヨーロッパでは「保守革命」によって社民が危機に瀕し、市場経済を重視する「新しい労働党」などに進化したが、日本では社会党の残党が民主党の中にいまだに残り、民共合作など左傾化している。夏の合宿では細野豪志氏をまじえて、野党がどう方向転換すべきかを考える。

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