きのうのVlogをつくるためにトランプの演説をいろいろ聞いて驚いたのは、その内容があまりにも幼稚で支離滅裂だということだ。WSJにその一覧表があるが、日本については何も知らず、「日本からの輸入でアメリカは貧しくなっている」という30年前のような話をしている。

それでもこれほど人気があるのは、ヒトラーを思わせる。高田博行『ヒトラー演説』によると、彼はプロパガンダのコツを次のように語っている:
  • 民衆を味方につけるには、文章より演説のほうが効果がある
  • 同じ話を1000回くり返して初めて民衆は理解する
  • 圧倒的多数の民衆は、女性のように論理ではなく感情で動く
  • つねに敵をつくり、自分たちがその犠牲者だと強調する
  • 綴りの長い言葉は使わず、限られた語彙で話を単純化する
トランプの話を10分も聞くとうんざりするのは、繰り返しが多いことだ。単語も日本の中学英語ぐらいで、聞き取りやすい。これはアメリカ人がバカだからというより、いつの時代にも多数派の(教育程度の低い)大衆にアピールするレトリックは変わらないということだろう。

この点で安倍首相の演説は地味で手堅く、トランプにもヒトラーにも似ていない。日本人で似ているのは、トランプを賞賛する橋下徹氏だ。これは彼がファシストだという意味ではなく、組織票のない政治家が大衆の支持を得るために必要な資質は同じだということである。

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