民主党と維新の党が合流してできる新党の名前が「民進党」になった。党名ひとつ執行部が決められず、世論調査で決める党に「大胆な改革」は期待できない。特にバカバカしいのは、その綱領案に共生社会をあげていることだ。「共生」は政治家や経営者が好む言葉だが、生物学用語を誤解している。
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これは共生を専門とする生物学者の分類だが、2種類の個体AとBがあるとき、もっとも多いのは競争によってどちらかが淘汰される場合だ。このときAがBより大きい生物だったら、結果は、次のようにわかれる:
  • AがBを捕食する:Bは死ぬ。
  • BがAに寄生する:Aが生き残って片利共生になる場合もあるが、細菌Bが感染してAが死ぬ場合もある。
  • AもBも生き残って両方とも利益を得る:これが一般にイメージされる相利共生だが、きわめてまれで不安定な状態だ。
進化の歴史の中でもっとも重要な共生は、細胞内共生である。葉緑体やミトコンドリアは、真核生物に寄生したバクテリアが捕食されず、宿主も殺さず、その一部になったものと考えられている。

つまり(相利)共生とは「みんなが仲よくする」ことではなく、食うか食われるかの競争の中で、たまたま殺しも殺されもしないで両方が利益を得る、きわめてまれなケースなのだ。

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