賀正の紅白扇が飾られた門松イラスト今年も年賀状は出さないので、ブログでごあいさつ。

去年は、安倍政権の勝利の年でした。安保法制や日韓関係などの難問を乗り切り、今年ダブル選挙をやったら、憲法改正も視野に入るでしょう。

彼の政治手法は、徹底的なポピュリズムです。公明党に代表される大衆の求めるままに負担を先送りし、財政危機や社会保障などの政治的に厄介な問題は避ける。これは選挙戦略としてはきわめて合理的ですが、長期的に考えたとき、こうした問題を永遠に先送りできないことは明白です。
その未来を見せているのが、EUです。フランスで極右の国民戦線が躍進したのに続いて、スペインの国政選挙では緊縮財政に反対するポデモスという左翼政党が第3党になりました。彼らの特徴は、ポピュリズムを堂々と掲げていることです。これに米大統領選で共和党候補になりそうなトランプを入れると、今年はポピュリズムの年になるような気がします。

デモクラシーはポピュリズムとほぼ同義語であり、民主政治はつねに衆愚政治になるリスクをはらんでいます。議会制度は、なるべく直接に民意を反映しないように工夫された制度でしたが、史上初めて普通選挙を実現したワイマール体制の生んだのは、ナチスでした。

しかし日本ではヒトラーのような独裁者が出たことはなく、今後もないでしょう。問題を先送りしているうちに戦争や財政破綻などの破局が訪れ、難民の排除や反緊縮を掲げる「若者の党」が生まれる、というフランスやスペインに似た状況が起こるような気がします。その萌芽が、去年話題になったシールズです。

思えば私の生きてきた時代は、日本の歴史上もっとも幸福な時代でした。これ以上に幸福な時代は二度と来ないでしょうが、破局を避けることは可能です。その最大の敵は、大衆の求める短期的な利益に迎合するポピュリズムなのです。

2016年1月1日