トロツキーわが生涯〈上〉 (岩波文庫)
「イスラム国」がパリをねらうのは、フランス人が「反イスラム」だからだというコメントは間違いである。フランスは、イスラムだけでなくキリスト教についても、ライシテ(政教分離)を厳格に守らせる国なのだ。神の名による支配を廃絶し、「自由・平等・博愛」という普遍的価値によって統治することが、フランス革命の精神だった。

この正義はすべての人類に普遍的だと彼らは信じたので、それを全世界に輸出するナポレオン戦争で、莫大な犠牲者を出した。同じくロシア革命では、共産主義は普遍的な正義なので、レーニンはそれを否定する者を抹殺することをためらわなかった。トロツキーは「革命の輸出」によって世界戦争を起こそうとした。

ソビエト政府は、「史上もっとも知的な政府」と呼ばれた。それを指導したレーニン・トロツキー・ブハーリンなどの著書は、社会科学の古典だが、その生み出したものは数百万人の「粛清」と第二次大戦後の冷戦と崩壊後の混乱だけだった。なぜ20世紀最高の知性が、最悪の悲劇を生み出してしまったのだろうか?

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