公明党vs.創価学会 (朝日新書53)
軽減税率をめぐる攻防は大詰めに入ったが、公明党はいまだに「酒類を除く飲食料品」という大幅な軽減対象を譲らない。これだと1兆3000億円余りの税収減になるが、それを埋め合わせないと、予定していた「社会保障と税の一体改革」は崩れてしまう。公明党は所得税やタバコ税の増税などを出しているが、思いつきの域を出ない。

それでも菅官房長官は「公明党の意向は尊重する」という。その背景には、来年の参議院選で、公明党との選挙協力なしでは安定多数が取れない事情がある。自公政権は衆議院で2/3の議席を取っているが、絶対得票率(得票率×投票率)でみると、合計24%に過ぎない。特に自民党はかつての半分以下になっており、都市部で固い支持層をもつ公明党の7%なしには当選できない。

他方、公明党の支持母体である創価学会は、高度成長期に都会に出てきた未組織労働者が母体で、地方にはあまり支持基盤がない。というより地方では自民党を支持する農家の次三男が、東京では創価学会=公明党の支持層なのだ、と本書は指摘する。この意味で自民党と公明党は補完的であり、一体である。

しかも公明党は第一党にはなれないので政権構想は描けず、軽減税率のようなポピュリズムで集票するしかない。その最強の集票マシンが創価学会婦人部である。いわば自民党では過去のものになった「田中角栄型」のドブ板政治が、公明党には残っているのだ。

続きは11月9日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。