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イスラエルのネタニヤフ首相がベルリンの記者会見で、1941年にパレスチナの指導者がヒトラーに「ユダヤ人を焼き殺せ」と提言したことがホロコーストの原因だと発言し、世界から批判を浴びている。ホロコーストは1939年に始まっているので、これは悪い冗談だが、ヒトラーの戦争が「人種の戦争」だったことは他に例をみない特徴だ。

戦略的にはホロコーストは無意味だったが、ヒトラーはユダヤ人を根絶して「民族共同体」を建設することを理想としていたので、それは戦争の目的だった。この大規模な「民族洗浄」に彼が熱中したのは一種の狂気だが、多くのドイツ人がそれに熱狂したのはなぜだろうか。

敗戦とワイマール憲法と大恐慌で国内が無政府状態になっていたドイツにとって、「世界に冠たるアーリア人の国家」を建設するというヒトラーの理想は魅力があった。カール・シュミットは1923年にこう書いている。
あらゆる現実の民主主義は、平等のものが平等に扱われるというだけではなく、その避くべからざる帰結として、平等でないものは平等には取り扱われないということに立脚している。すなわち民主主義の本質をなすものは、第一に同質性ということであり、第二に――必要な場合には――異質なものの排除ないし絶滅ということである。(第2版まえがき、強調は引用者)

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