大脱出――健康、お金、格差の起原
今年のスウェーデン銀行賞を受賞したアンガス・ディートンの一般向けの本。石器時代以来の人類の歴史を展望し、資本主義がいかに奇蹟的な貧困からの「大脱走」を実現したかを多くのデータでたどる。

彼のテーマは、富と健康と格差だ。富は健康の源泉だが、富の奪い合いが戦争を起こす。石器時代の人類は狩猟と採集で自由に生きていたが、1万年ぐらい前から定住して農業をするようになると、成長とともに戦争や格差が生まれた。

資本主義はいろいろな問題を人類にもたらしたが、それは人類を豊かにし、健康にした。1900年にはアメリカの平均余命は47.3年だったが、2006年には77.9年までのびた。「金より命」といったミュージシャンは、いま癌の高額医療を受けている。金がないと命は救えないのだ。それは彼が、5歳までに子供の25%が死ぬシエラレオネへ行ってみればわかるだろう。

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