「歴史認識」とは何か - 対立の構図を超えて (中公新書 2332)
これは書評ではなく、事実誤認の指摘である。本書の175ページの大沼氏の話は、歴史的に明白な誤りである。
明治以来一貫する「脱亜入欧」(停滞した旧弊なアジアの一員であることをやめて、「進んだ」「強い」ヨーロッパの一員になろうという、日本の政策と意識)の一環としてのアジア、アフリカの人々への差別意識です。
彼は出典を何も示していないが、「脱亜入欧」は福沢諭吉の言葉といわれることが多い。これは事実誤認であり、福沢は『時事新報』の論説に「脱亜論」と題したが、「入欧」という言葉はなく、その内容も大沼氏のいうような差別意識とは逆だ。これについては丸山眞男も何度も「誤解だ」と訂正し、私もブログで紹介した。

大沼氏は90年代から朝日新聞の慰安婦デマを擁護してこの問題を混乱させてきたが、それについては今さらいわない。少なくとも上の部分は重大な誤解であり、福沢に対する侮辱である。重版では訂正されたい。