NANBARA_Shigeru安保法案デモは「平和を願えば平和になる」という新興宗教だが、昔の左翼はこんな平和ボケではなかった。先日の記事でも書いたように、南原繁は憲法制定の帝国議会で、憲法第9条で自衛権を否定する吉田首相を次のように批判したのだ。
戦争はあってはならぬ、是は誠に普遍的なる政治道徳の原理でありますけれど、遺憾ながら人類種族が絶えない限り戦争があると云うのは歴史の現実であります。従って私共は此の歴史の現実を直視しして、少なくとも国家としての自衛権と、それに必要なる最小限度の兵備を考えると云うことは、是は当然のことでございます
南原の理想は国連による集団安全保障だったが、その基礎となるのも各国の自衛権であり、日本が丸腰で国連に守ってもらうわけには行かない。「自分の国民を防衛すると云うのは、又其の設備を持つと云うことは、是は普遍的な原理である。之を憲法に於て抛棄して無抵抗主義を採用する何等の道徳的義務はないのであります」(同上)。

ところが1950年代の「全面講和」をめぐる論争では立場は逆になり、南原は「非武装中立」をとなえる平和ボケの元祖のように思われているが、そうではなかった。彼は武装中立を主張したのだ。

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