日本経済の制度分析―情報・インセンティブ・交渉ゲーム
本書は先週亡くなった青木昌彦氏の代表作であり、80年代に世界的に流行した「日本的経営」についての経済学の立場からのまとめである。原著の出た1988年ごろまでの日本企業についての研究はほぼ網羅されており、それを著者の観点から統一的にまとめている。

中でも重要なのは、典型的なアメリカ型企業(A企業とよばれる)が垂直統合の命令系統で経営されているのに対して、日本型の企業(J企業)は下請けなども含めた水平的コーディネーションで機能し、よくも悪くも強い指導者がいないことだ。これは自動車のように多くの関連企業のネットワークを柔軟に運営するのには向いているが、コンピュータのようにハイリスクの事業を急速に立ち上げるのには向いていない。

また意思決定が工場などの小規模な集団で完結し、現場の自律性が強い。この特徴を著者は仕切られた多元主義と呼び、官僚機構にその傾向がもっとも強くみられると指摘しているが、これは丸山眞男のいうタコツボ組織を連想させる。本書ではこうした文化的な説明は最小限にしているが、後年の著者は潅漑農業や親族集団などの文化的な側面を重視するようになった。

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