日本憲政史
「安保関連法案に反対し、そのすみやかな廃案を求める憲法研究者の声明」なるものが発表された。無名の人ばかりだが、名誉教授など高齢者が多い。その中身は先月の左翼歴史学者と同じく、朝日新聞に洗脳された老人の繰り言である。

「昨年7月1日の閣議決定は『集団的自衛権の行使は憲法違反』という60年以上にわたって積み重ねられてきた政府解釈を、国会での審議にもかけずに、また国民的議論にも付さずに、一内閣の判断でくつがえしてしまう暴挙であった」というが、それを今、国会で審議しているのだ。それとも閣議決定の前に法案を審議しろとでもいうのか。

今の憲法を絶対化して、その解釈まで60年前と同じにしろというのは時代錯誤も甚だしい。本書も跡づけるように、明治憲法も一般に思われているほど不磨の大典ではなく、その解釈も時代とともに大きく変わったのだ。

他方で、安倍首相が思っているほど憲法が何かの障害になっているわけでもない。来年の参議院選挙で自公が2/3を取ったら、与党内で合意できる「環境権」などの人畜無害な改正をするつもりらしいが、改正のための改正なんて意味がない。本質的な問題は、明治憲法から受け継がれる明治レジームなのだ。

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